楽天モバイルのテザリングは無制限で在宅ワークに使えるか|実測速度と経費化まで検証

監修: ノア|MVNO事業の責任者として格安SIM・モバイルWiFi・eSIMの事業立ち上げから運営まで7年以上携わってきた通信業界の専門家。法人・個人向け通信サービスのマーケティング統括とAIO/SEOを活用したオウンドメディア運営の実務経験を持つ。現在も現役で通信系マーケティングに従事。
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固定回線を解約してスマホのテザリングだけで仕事を回せるなら、通信費のコスト構造はかなり身軽になります。同業のフリーランスから「実際のところ在宅の業務回線として成立するのか」と聞かれる機会も増えました。ここでは楽天モバイルのRakuten最強プランを対象に、公開されている実測速度データと在宅勤務の検証記録、そして通信費を経費計上するときの按分の考え方までをまとめます。判断に必要な数字を並べたうえで、どこまでなら任せられて、どこからは別回線が要るのかを線引きしていきます。
結論
Web会議やVPNを含む一般的な在宅業務であれば、テザリングでメイン回線を賄える帯域は確保できる可能性があります。在宅勤務の検証ブログ(sabro-rm.hatenablog.com)が2026年5月15日に終日計測した記録では、テザリング接続時のZoom会議・VPN通信で下り27.00Mbps〜43.76Mbps、Ping 47ms〜48ms、Jitter 17.08msという数字が出ています。ただしこれは特定の住環境・特定の日に測られた1件の記録であり、同じ数字がどこでも再現するわけではありません。結論としては「候補から外す理由はないが、自分の作業場所で事前に実測してから主回線に据える」という順序になります。
費用面の前提も押さえておきます。Rakuten最強プランのテザリングはオプション費用0円で、事前の申し込みも追加料金も不要です。データ利用量が月20GBを超えたデータ無制限帯の月額は3,278円(税込)で、どれだけ使っても料金の段階はそこで止まります。掲載している料金は税込の目安であり、時期や契約条件によって変動しますので、契約前に公式サイトで最新の条件を確認してください。
一方で、結論を変える条件も先に出しておきます。判断の分かれ目は次の3点です。
数GBを超えるファイルの送受信を日常的に行う業務かどうか
建物の奥まった場所など、電波が届きにくい環境で作業しているか
海外を含む拠点移動が業務前提に入っているか
テキストチャットやWebブラウジング、資料のダウンロード中心のテキストワークであれば10Mbps〜15Mbps程度の帯域でも業務は成立します。逆に、数GB超のアップロードとダウンロードを頻繁に伴う業務では効率が落ちる可能性があります。動画編集の納品や大量の画像入稿が毎日発生するなら、テザリング単独ではなく固定回線との併用を前提に組み立てたほうが安全です。
テザリングに追加コストが乗らない意味
業務回線を検討するとき、オプション費用が固定費として積み上がるかどうかは無視できません。テザリングが前述のとおり追加費用なしで申し込みも不要ということは、契約したその日から回線の使い道をPCに広げられるという意味になります。試してみて合わなければ固定回線に戻せばよく、初期の判断コストが低いのは実務上ありがたい条件です。この手軽さは、主回線に据える前の実測期間を設けやすいという点でも効いてきます。
無制限帯でも料金が跳ねない前提
在宅ワークの通信量は月によってぶれます。打ち合わせが立て込む月と、資料作成が中心の月では使用量が倍近く変わることも珍しくありません。無制限帯が定額で頭打ちになる料金設計は、経費の見積もりを立てやすくします。
料金について
判断材料になる数字は、料金の段階制と時間帯別の平均速度の2つに集約されます。まず料金から確認します。Rakuten最強プランは使った量に応じて3段階で料金が変わる設計で、最強家族割を適用すると全段階が月額110円引きになります。
月間データ利用量 | 月額(税込) | 最強家族割適用時(税込) |
|---|---|---|
3GBまで | 1,078円 | 全段階110円引き |
3GB超〜20GB | 2,178円 | 全段階110円引き |
20GB超(データ無制限) | 3,278円 | 3,168円 |
通話については、Rakuten Linkアプリを使った国内通話は無料です。OS標準の通話アプリから発信すると30秒あたり22円(税込)がかかると案内されています。取引先へ標準アプリでかけ続けると通話分が別建てで積み上がるため、業務用の発信をどちらのアプリに寄せるかは最初に決めておくとよいでしょう。
時間帯別の平均下り速度
速度は測定サイトの集計値で見ると輪郭がつかめます。みんなのネット回線速度(キャリア)の直近3ヶ月・10,075件の平均によると、楽天モバイル(キャリア)の実測は次のとおりです(2026年8月28日時点)。
測定項目 | 平均値 | 集計条件 |
|---|---|---|
朝の下り速度 | 113.19Mbps | 直近3ヶ月・10,075件 |
昼の下り速度 | 54.27Mbps | 直近3ヶ月・10,075件 |
夜の下り速度 | 79.89Mbps | 直近3ヶ月・10,075件 |
平均Ping値 | 49.47ms | 直近3ヶ月・10,075件 |
昼は他の時間帯より落ちますが、それでも極端に落ち込む水準ではありません。Web会議が昼休み明けに集中する働き方でも、平均値の範囲で見るかぎり致命的な落ち込みではありません。
Ping値が50ms前後という点も、リアルタイム性が要る通信の目安として頭に入れておくと判断しやすくなります。
数字を読み違えないための注意点
検索していると「昼は0.86Mbps」という数字に行き当たることがあります。これはみんなのネット回線速度の格安SIM区分(旧MVNO回線)の昼の平均下り速度で、2026年8月27日時点・48件の集計です。
速度測定サイトのデータベースでは「楽天モバイル(キャリア)」と旧「楽天モバイル(格安SIM)」が別枠で集計されるため、現行プランを評価するならキャリア側の数値を見る必要があります。母数が48件と10,075件では、そもそも比較の土台が違います。
実際の消費量の感覚もつかんでおきましょう。有識者の検証の一例では、固定回線を休止してテザリングのみで在宅ワークと動画視聴を1週間続けたときのデータ使用量は約38GBでした。この使い方をひと月続ければ、料金は無制限帯に入る前提で見積もることになります。段階制の下側で収まることを期待して契約すると、想定と合わなくなる可能性があります。
料金は3段階で、無制限帯に入っても定額で止まる
平均下り速度は朝が最も速く、昼が最も遅い
旧MVNO区分の数値は現行プランの評価に使わない
在宅ワーク中心でも週あたり数十GB規模の消費はあり得る
乗り換え相談を受けるたびに伝えているのは、平均値より「自分の月間消費量」を先に測ってくださいということです。段階制は下の帯で収まる前提だと読み違えます。テザリング中心の働き方なら、上限帯を基準に見積もっておくほうが後で慌てません。速度は数字より、昼に会議が入るか、外出先で使うかという自分の時間割に当てはめて判断するものです。
業務シーン別の判断
業務ごとに必要な帯域は違うので、シーン別に切り分けるのが実務的です。以下で挙げるのはいずれも前述の在宅勤務検証ブログにおける1環境の記録であり、一般的な性能保証ではありません。検証で確認できた事実と、そこから導く判断は分けて読んでください。
Web会議から見ていきます。
同ブログの2026年5月の記録では、下り27Mbps〜43Mbps程度が確保された環境で、ZoomとTeamsのカメラ・マイクをオンにした状態や画面共有時も映像と音声の途切れがなく、参加者にテザリング利用と気づかれない水準だったと記録されています。
会議中に「音声が途切れています」と指摘されるリスクを心配しているなら、この記録は判断材料の一つになります。ただし同等の帯域が自宅で出るかどうかは別問題なので、カメラオン運用に切り替えるのは実測で同水準を確認してからにしてください。
VPNと社内システムについても同じ検証の中で触れられています。2026年5月15日の計測で下り43.76Mbps・Ping 47.53msという環境において、社内VPN接続と社内システムへのアクセスにタイムラグはありませんでした。
クライアント先のVPNに入って作業する受託業務でも、この程度の遅延なら操作感が変わる場面は想定しにくいと考えられます。接続先の環境しだいで体感は変わるため、常駐案件が決まった段階で一度実接続を試しておくと確実です。
シーン別の目安を整理する
業務シーン | 検証環境での実測値 | 検証時に記録された結果 |
|---|---|---|
Web会議(カメラ・画面共有あり) | 下り27Mbps〜43Mbps | 映像・音声の途切れなし |
VPN・社内システム | 下り43.76Mbps/Ping 47.53ms | タイムラグなし |
テキストワーク・資料ダウンロード | 下り10Mbps〜15Mbps程度 | 業務可能とされる目安 |
数GB超の頻繁な送受信 | 記載なし | 効率が落ちる可能性あり |
表に載せたのは検証環境での測定結果と目安であって、契約すればこの結果が得られるという意味ではありません。自分の作業場所で同じ数字が出るとは限らない点は前提として置いてください。
固定回線を残すべき業務の見分け方
判断が割れるのは、動画・デザイン・大量画像を扱う制作系です。数GBを超えるアップロードとダウンロードが頻繁に発生する業務では効率が落ちる可能性があり、昼の時間帯は速度が下がりやすいと案内されていることも合わせて考えると、納品が締切直前に集中する働き方とは相性が良くありません。
この場合はテザリングを主回線ではなくバックアップとして位置づけ、固定回線との二本立てにするほうが業務継続性の観点で合理的です。回線を二重に持つかどうかの費用対効果は、ホームルーターvs光回線【2026年版】在宅フリーランス・個人事業主の選び方と経費化ガイドで扱った判断軸も合わせて検討してください。
判断を変える条件と例外
無制限で安定するという前提は、いくつかの条件で崩れます。まず国内について。国内のパートナー回線(au回線)エリアでの通信制限は撤廃され、楽天自社回線エリアと同様にデータ無制限で使えます。自社回線が届きにくい地域に住んでいても、容量の上限で作業が止まる心配は国内では小さくなりました。
一方で海外は扱いが変わります。海外ローミング時のデータ通信はテザリング分を含めて月2GBまでで、超過後は最大128kbpsに制限されます。海外に出て仕事をする前提があるなら、この2GBは業務用途としては現実的な容量とは言えません。海外滞在が業務に組み込まれている場合の回線設計は、ahamo eSIMは海外出張に向く?フリーランスの評判と業務利用を検証で整理した論点も参考にしてください。
混雑時の扱いも押さえておきます。大容量通信が発生した場合やネットワークが混雑した場合には、通信速度の制御や動画・ファイルサイズの圧縮が実施される場合があると案内されています。無制限という言葉から「常に一定の速度が出る」と読むと、実態とずれます。発動する通信量の具体的な目安は公表されていないため、最新の条件は公式サイトでご確認ください。
切断の原因は回線側とはかぎらない
「テザリングがすぐ切れる」という不満について、回線品質ではなく端末側の設定が原因の一つとして挙げられています。具体的には、スマホのスリープ(自動ロック)によるテザリングの自動切断、省電力モードによる通信制限、そして建物の奥深くなど電波が微弱なエリアでのハンドオーバー失敗です。会議中に落ちるのが怖くて導入をためらっているなら、回線を疑う前に設定側を一度確認しておくと切り分けが進みます。
判断を変える条件 | 内容 | 対応の方向 |
|---|---|---|
海外での利用 | テザリング分含め月2GB、超過後は最大128kbps | 別回線の併用を検討 |
混雑・大容量通信 | 速度制御や動画・ファイルの圧縮が実施される場合あり | 大容量作業の時間帯を分散 |
電波が微弱な作業場所 | ハンドオーバー失敗による切断が起きる場合あり | 設置場所の見直し |
端末のスリープ・省電力 | テザリングが自動で切断される場合あり | 端末設定の変更 |
国内のパートナー回線エリアも無制限の対象になっている
海外前提の働き方には別の回線設計が要る
混雑時の制御は仕様として存在する
切断については端末設定と設置場所にも改善余地がある
次に取るべき行動
やることは2つです。回線を安定させる設定を先に済ませることと、経費計上の根拠を残す運用を用意することです。順番としては設定が先で、業務回線として使えると確認できてから経費処理の型を作るとスムーズに進みます。
設定面では、スマホの自動ロックを「なし」または長時間に変更し、Androidであれば「接続されていない場合自動的にオフ」を無効化し、省電力モードをオフにする調整が推奨されています。この3点で、会議中の突然の切断を減らすことが期待できます。接続する機器がPC1台だけなら、Wi-Fiの電波干渉を避けて通信を安定させるためにUSBテザリング(有線接続)が推奨されています。それでも不安定なら、窓際や高所への設置といった物理的な調整が必要な場合もあります。
経費計上は按分の根拠づくりから
通信費を家事関連費として経費に算入するには、取引の記録等に基づいて業務遂行上直接必要だったことが明らかに区分できる必要があります(国税庁タックスアンサーNo.2210、令和7年4月1日更新時点)。ここが出発点で、金額の扱いはそのあとに決まります。個人名義の回線であっても、私用と分離して事業専用回線として運用し、その実態を説明できる場合には全額を必要経費にできるとされています。私用と混在しているなら、按分の考え方を自分で決めて説明できる状態にしておくことになります。
按分の基準 | 計算の考え方 | 例 |
|---|---|---|
業務使用時間基準 | 1日あたりの業務時間で割る | 1日8時間なら8/24=約33% |
使用日数基準 | 週あたりの稼働日数で割る | 週5日なら5/7=約71% |
事業専用運用 | 私用と分離して運用する | 全額算入を検討できる |
表に挙げたのはあくまで考え方の例で、どれかを選べば比率が自動的に決まる性質のものではありません。按分比率に法定の規定はなく、客観的資料で説明できないと否認リスクがあるとされているため、実際の使用実態に照らして自分で妥当性を説明できる数字にする必要があります。証憑については、請求書、利用明細のPDF、按分計算の根拠メモなどを原則7年間保管するとされていますので、保管期間は自分のケースで適用される年数を確認しておくと安全です。テザリングで業務を回している場合、PCの接続実態そのものが業務利用の説明材料になります。どの基準を採るか、事業専用運用として扱えるかは個別の事情によって判断が変わるため、迷う場合は顧問税理士や所轄税務署に確認してください。経費化の全体像はフリーランスのWiFi代を下げる回線選びと経費化【2026】でも整理しています。
申し込み前に確認しておくこと
テザリングは前述のとおり追加費用も事前申し込みも不要なので、契約後すぐに業務利用の検証に入れます。最初の1週間は普段どおりに働きながら、会議中の安定性とデータ消費量を記録しておくと、固定回線を残すかどうかの判断材料がそろいます。料金や提供条件は変わりうるため、契約前に公式サイトで最新の内容をご確認ください。
業務用途に合う回線を確認する
料金だけで決めず、業務継続性と利用場所の条件を確認して判断してください。
元通信事業者の視点で言うと、業務回線の失敗はたいてい「平常時の料金」で決めて「非常時の使い方」を想定していないことから起きます。判断軸は二つ。第一に、その回線が落ちた日に業務が止まるかどうか。止まるなら冗長化が前提です。第二に、実際に働く場所で電波が入るか。カタログのエリア図ではなく、自分の作業場所で確かめてください。
よくある質問
Q: 楽天モバイルのテザリングに追加料金や申し込みは必要ですか
A: どちらも不要です。Rakuten最強プランのテザリングはオプション費用0円で提供されており、契約後すぐにPCへ接続して業務に使えます。
Q: Web会議中にテザリングだと相手に気づかれませんか
A: 在宅勤務の検証ブログ(sabro-rm.hatenablog.com)の2026年5月の記録では、下り27Mbps〜43Mbps程度が出ていた環境で、カメラ・マイクをオンにした状態や画面共有時も映像と音声の途切れがなかったと記載されています。あくまで単一環境での記録で、電波状況によって結果は変わります。
Q: 昼の速度が0.86Mbpsという情報を見たのですが本当ですか
A: それは旧MVNO回線を対象にした別集計の数値です。速度測定サイトではキャリア区分と格安SIM区分が別枠で集計されているため、現行プランの評価にはキャリア側の数値を見る必要があります。
Q: テザリングがすぐ切れるのは回線が悪いからですか
A: 端末設定も原因の一つとして挙げられています。自動ロックと省電力モードの設定を見直し、接続するのがPC1台ならUSB接続を試してみてください。
Q: 通信費はどこまで経費にできますか
A: 業務遂行上直接必要だったと区分できる範囲です。具体的な判断は前述の按分の考え方を参照し、自分のケースについては税理士や所轄税務署にご確認ください。
参考・出典
料金・仕様・提供条件は変更される可能性があります。申し込みや業務利用の判断前には、必ず各公式ページで最新情報を確認してください。








