楽天モバイルを副業用の2回線目にする判断基準|事業専用の通話回線として持つ価値と落とし穴

監修: ノア|MVNO事業の責任者として格安SIM・モバイルWiFi・eSIMの事業立ち上げから運営まで7年以上携わってきた通信業界の専門家。法人・個人向け通信サービスのマーケティング統括とAIO/SEOを活用したオウンドメディア運営の実務経験を持つ。現在も現役で通信系マーケティングに従事。
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副業や小規模な事業を1台のスマホで回していると、毎年の確定申告で同じ作業が発生します。プライベートと業務の通話を1つの明細から切り分け、按分比率を決め、その根拠を説明できる形で残す作業です。この手間は売上の大小と関係なく、毎年かかり続けます。
2回線目を事業専用の通話回線として持つ判断は、この構造そのものを変えるための選択です。金額の大小ではなく、経理処理と業務継続性という2つの観点から検討する価値があります。以下では料金・速度の一次データと、契約前に潰しておくべき通話仕様の落とし穴を順に整理します。
結論
事業専用の通話回線として楽天モバイルを2回線目に持つ判断は、フリーランス・個人事業主にとって合理的です。理由はコストの絶対額ではなく、通信費を按分せずに処理できるようになることと、メイン回線と役割を分けて業務の冗長性を確保できることの2点にあります。
家事按分から解放されることが実務上の利点
事業専用回線として分離すれば家事按分が不要になり、月額を100%通信費として経費算入できます(2026年4月時点の国税庁の考え方に基づく整理です)。
1台のスマホを兼用している限り、通話明細を眺めて業務利用の割合を決める作業からは逃れられません。回線そのものを分けてしまえば、その回線の請求書がそのまま経費の証憑になります。
按分作業は数字を出すこと自体より、その比率を第三者に説明できる形で残すことに手間がかかります。回線を物理的に分ける方法は、この説明コストを構造的に消す唯一の手段です。売上規模が小さい段階ほど、按分に費やす時間の機会損失は相対的に大きくなります。
維持コストの水準を把握しておく
Rakuten最強プランの月額料金は3GBまでなら1,078円(税込)で、最強家族割を適用した3GB以下の月額は968円と案内されています(2026年9月時点)。
事業用の通話回線はデータ通信をほとんど使わない運用になりやすく、この下限側の段階で維持できる見込みが立ちます。ただし料金は目安であり、時期・契約条件により変動します。
通話中心の運用なら、データ使用量は最小段階に収まりやすい
段階制のため、月によって使用量が増えても自動的に上位段階へ移行する
事業専用として使う以上、その月額はすべて事業側の費用になる
メイン回線は乗り換えなくてよい
メイン回線を解約する必要はありません。むしろ通信障害やエリア外への備えとして、メイン回線と組み合わせたデュアルSIM構成が推奨されています。既存回線をそのまま残し、2枚目として追加する形が前提です。
クライアントとの連絡手段が1系統しかない状態は、事業継続の観点では単一障害点です。キャリアをまたいで2回線を持てば、片方の障害時にもう片方で連絡を取れます。乗り換えではなく追加として捉えることが、この判断の出発点になります。
調査で確認できた事実
判断材料になる一次データは、料金の段階構造・契約事務手数料・実測速度・通話料の4項目に整理できます。いずれも基準日のある公表値として扱い、契約前に最新値を確認してください。
段階制料金と最強家族割の内訳
Rakuten最強プランは使ったデータ量に応じて月額が自動的に決まる段階制です。段階の境界と金額は以下の通りです。
データ利用量 | 月額(税込) |
|---|---|
3GBまで | 1,078円 |
3GB超〜20GB | 2,178円 |
20GB超(データ無制限) | 3,278円 |
最強家族割の割引額は1回線あたり月110円と公表されています(2026年9月時点)。前述の3GB以下の段階に家族割を適用した場合の月額が、先に触れた水準です。料金は目安であり、時期・契約条件により変動しますので、申し込み前に公式サイトで現行の金額をご確認ください。
同一名義の契約事務手数料
2回線目を追加するときの初期費用は、同一名義での累計回線数によって変わります。
同一名義の累計回線数 | 契約事務手数料 |
|---|---|
4回線目まで | 0円 |
5回線目以降 | 3,850円(2025年11月19日以降適用) |
すでに楽天モバイル回線を持っている場合、その回線も累計に含まれる
手数料の有無は名義単位で決まるため、契約名義を事前に確認しておく
端末代金や事務手数料以外の費用は、申し込み内容によって別途発生する
実測速度と通話料の一次データ
データ通信の実測値として、携帯キャリア回線の直近3ヶ月平均ダウンロード速度は123.1Mbps、平均Ping値は44.6msという測定結果が公表されています(2026年9月時点・第三者の速度測定サイト)。
オンライン会議や資料の送受信を含む業務利用に耐える水準です。なお同じ測定サイトでも、楽天モバイルMVNO(旧格安SIM)の直近3ヶ月平均ダウンロード速度は6.76Mbpsと別枠で集計されており、契約している回線種別によって数値がまったく異なります。比較する際は対象を取り違えないでください。
通話については、0570(ナビダイヤル)等への発信は標準電話アプリに切り替わり30秒22円が課金されると公式に案内されています(2026年9月時点)。この点は次章以降で運用面の対策とあわせて扱います。
乗り換え相談を受けるたびに伝えているのは、数字を見る前に「どの回線種別の話か」を確定させることです。同じ楽天でもキャリア回線とMVNOでは実測が桁違いで、比較表だけ眺めて期待値を作ると現場で裏切られます。料金の段階も、月ごとの業務量の振れ幅を思い出しながら自分がどの段に落ちるかを考えると判断がぶれません。
業務シーン別の判断
想定シーンごとに向き不向きは分かれます。クライアントとの通話用と外出先のバックアップ通信には適しますが、止まると業務が停止する回線を単独で任せる用途には向きません。
クライアントとの通話回線として使う
この用途が2回線目の中心になります。事業用の番号を分けておけば、着信を見ただけで業務かプライベートかを判断でき、作業時間の区切りもつけやすくなります。名刺や請求書に記載する番号を私用の番号と分離できる点も、実務では効いてきます。
ただし通話用に契約するなら、プラン種別の選択を誤らないことが前提です。データ通信専用の「データタイプ」回線は通話無料サービスや一部キャンペーンの対象外なので、通話用なら音声通話付きプランを選ぶ必要があります。ここを間違えると、契約し直すまで目的を果たせません。
外出先のテザリング用バックアップとして使う
移動の多い働き方では、2枚目のSIMが実質的な予備回線になります。前述の平均ダウンロード速度とPing値の水準であれば、コワーキングスペースのWi-Fiが混雑したときの切り替え先として機能します。
カフェやコワーキングの共有Wi-Fiが不調なときの退避先にできる
出張先でメイン回線の電波が弱い場合の代替になる
テザリングを常用するとデータ使用量が増え、上位の料金段階へ移行する
月3GB未満に抑えるにはWi-Fi環境下での利用を徹底する運用管理が必要です。バックアップとして持ちながら維持コストを最小段階に留めたいなら、常用しない運用ルールを自分で決めておいてください。作業拠点側の回線をどう組むかはフリーランスのWiFi代を下げる回線選びと経費化【2026】で扱っています。
止められない回線を単独で任せない
店舗の決済端末や、常時接続が前提の業務機器の回線を1本だけで賄う設計は避けてください。通信が止まった時点で売上機会がそのまま失われるためです。あくまでメイン回線を補うサブ回線として位置づけるのが妥当な扱いです。
業務シーン | 必要な回線条件 | 留意点 |
|---|---|---|
クライアントとの通話 | 音声通話付きプラン | データ専用プランは通話無料サービスの対象外 |
外出先のテザリング | データ使用量の上振れを許容 | 常用すると上位の料金段階へ移行する |
決済端末・常時接続機器 | 冗長構成が前提 | 単独回線での運用は避ける |
障害時の連絡手段確保 | メイン回線と別系統 | デュアルSIM構成が推奨されている |
在宅比率が高い場合は、固定的な拠点回線と組み合わせる前提で考えると設計しやすくなります。判断材料はホームルーターvs光回線【2026年版】在宅フリーランス・個人事業主の選び方と経費化ガイドにまとめています。
判断を変える条件と例外
前提が崩れる条件は主に4つあります。累計回線数、プラン種別、エリア差、そして通話仕様です。契約後に気づくと修正コストがかかるため、申し込み前に確認してください。
回線数と割引設定で前提が崩れる
すでに複数の回線を同一名義で契約している場合、追加する回線が累計5回線目以降に該当すると3,850円の契約事務手数料が発生します。手数料が0円になる前提で試算していると、初期費用の見込みがずれます。
さらに注意が必要なのが割引の適用方法です。家族割は自動適用ではなく「my 楽天モバイル」でグループ作成と各回線の紐付け設定が必要です。
設定を忘れたまま使い続けても、遡って適用されるとは限りません。なお同一名義の複数回線でも、自分で家族グループを作って参加させれば各回線に割引が適用されます。家族がいなくても割引の対象外になるわけではない、という点は見落とされがちです。
速度と通話仕様の落とし穴
公表されている実測値は全国平均であり、実測速度はエリア・建物構造・時間帯・端末性能によって大きく変動します。
自分の主な作業拠点や訪問先で同じ数値が出る保証はありません。可能であれば、契約前に同じ回線を使っている人の体感を確認するか、返品・解約条件を把握したうえで試してください。
通話仕様の例外は、事業用途では実害が出やすい部分です。
発信・着信のケース | 無料通話の対象 | 発生する通話料 |
|---|---|---|
0570(ナビダイヤル)への発信 | 対象外 | 30秒22円(目安) |
188・1417(留守番電話再生)等の特番 | 対象外 | 通話料が発生する |
iOS版で標準電話アプリの履歴から折り返す | 対象外 | 従量課金になる |
iOS版ではRakuten Link未使用の相手からの着信は標準電話アプリに入り、その履歴から折り返すと従量課金になります。取引先からの着信に折り返す機会が多い働き方では、無意識のうちに課金が積み上がる経路です。表の単価は第三者が料金を設定する場合を含む目安であり、詳細は記事末尾の参考・出典を確認してください。
端末を同時に購入する場合の処理
2回線目に合わせて端末を追加する場合、税務上の処理は取得価額で変わります。スマホ本体は取得価額10万円未満なら消耗品費として購入年度に一括計上できます(2026年4月時点の解説に基づく整理です)。また青色申告事業者は少額減価償却資産の特例で30万円未満の端末を一括計上できると案内されています。
10万円未満か以上かで、計上方法の分岐が生じる
青色申告かどうかで使える特例が変わる
分割払いの場合、支払期間と計上年度は一致しない
海外での業務が絡む場合は、2枚目のSIMをどこのキャリアで持つかの前提自体が変わります。判断材料はahamo eSIMは海外出張に向く?フリーランスの評判と業務利用を検証で整理しています。
次に取るべき行動
やるべきことは、申し込み時の選択・開通直後の設定・毎月の記録運用の3段階に分かれます。この順に処理すれば、経費計上と想定外の通話料の両方を同時に潰せます。
申し込み時に確定させること
まず音声通話付きプランで申し込んでください。前述の通りデータ通信専用の回線種別を選ぶと、通話無料サービスや一部キャンペーンの対象外になります。契約名義も、事業に使う回線として一貫した名義に揃えておきます。累計回線数によって事務手数料の扱いが変わるため、既存契約の本数もこの時点で数えておいてください。
音声通話付きプランを選ぶ(データ専用プランは選ばない)
契約名義を確認し、同一名義での累計回線数を数える
端末を同時購入する場合は取得価額を控えておく
開通直後に済ませる設定
開通したら、その日のうちに2つの設定を終わらせます。1つは「my 楽天モバイル」での家族グループ作成と回線の紐付けです。これを行わないと割引が適用されません。もう1つが通話料の防波堤です。Rakuten Linkの設定で「通話料が発生する電話番号への発信を制限する」機能を有効化できます。事業用回線は特番や代表電話への発信機会が多いため、この制限を先に入れておくと課金経路が塞がります。
制限を有効にすると必要な発信までブロックされる場面もあり得ますので、業務上どうしても必要な発信がある場合は、設定内容を把握したうえで運用してください。
毎月の記録運用を固定する
経費計上を安定させるには記録が必要です。国税庁の指針では、携帯電話料金は事業遂行上直接必要と取引記録等で明確に区分できる金額のみ必要経費に算入できると整理されています。回線を分けただけで自動的に説明が済むわけではありません。
全額経費計上には、事業専用であることを示す通話明細や利用記録を継続的に保存しておく必要があります。毎月の請求書と通話明細をダウンロードし、事業用フォルダに保存する作業をルーチンにしてください。作業自体は数分で終わりますが、記録が欠けた月が混じると、その年度全体の説明力が下がります。
毎月の請求書と通話明細をダウンロードして保存する
私用の発信が混ざらないよう、発信元アプリと回線を使い分ける
データ使用量を月次で確認し、料金段階の移行を把握する
業務用途に合う回線を確認する
料金だけで決めず、業務継続性と利用場所の条件を確認して判断してください。
主な作業拠点と訪問先で、実際に電波が届くかを確認する
メイン回線とキャリアが分かれているか(冗長性が確保できるか)を確認する
通話中心か、テザリング併用かで想定するデータ段階を決める
契約名義と累計回線数から、初期費用の見込みを確定させる
元通信事業者の視点で言うと、業務回線の失敗は料金表ではなく現場で起きます。拠点と訪問先の実測、メイン回線とのキャリア分散、通話中心かテザリング併用かの用途整理、この三つを先に固めてから料金を見る順番が安全です。契約名義と累計回線数で初期費用が変わる点も、申し込み前に必ず確認しておきたいところです。
よくある質問
Q: 副業用の2回線目として楽天モバイルを選ぶ最大の理由は何ですか
A: 通信費を按分せず全額経費計上できる状態を作れることです。事業専用回線として分離すれば家事按分が不要になり、その回線の請求書がそのまま経費の証憑になります。加えてメイン回線と系統を分けることで、障害時の連絡手段を確保できます。
Q: 2回線目の契約に事務手数料はかかりますか
A: 同一名義での累計4回線目までは0円と公式に案内されています。5回線目以降は3,850円が適用されます(2025年11月19日以降適用)。すでに保有している回線も累計に含まれるため、申し込み前に契約名義と本数を確認してください。
Q: 家族がいなくても家族割は使えますか
A: 同一名義の複数回線でも、自分で家族グループを作って参加させれば各回線に割引が適用されます。ただし自動適用ではなく、「my 楽天モバイル」でグループを作成し、各回線を紐付ける設定が必要です。開通直後に済ませておくことをおすすめします。
Q: 通話が無料にならないケースはありますか
A: 0570のナビダイヤル、188、1417(留守番電話再生)等の特番はRakuten Linkの無料通話対象外です。またiOS版では、Rakuten Link未使用の相手からの着信が標準電話アプリに入り、その履歴から折り返すと従量課金になります。設定で有料番号への発信を制限できます。
Q: 端末を一緒に買った場合、経費処理はどうなりますか
A: 取得価額で分岐します。10万円未満なら消耗品費として購入年度に一括計上でき、青色申告事業者は少額減価償却資産の特例で30万円未満の端末を一括計上できると案内されています。金額が上がる場合は減価償却の対象になるため、購入前に取得価額を確認してください。
参考・出典
料金・仕様・提供条件は変更される可能性があります。申し込みや業務利用の判断前には、必ず各公式ページで最新情報を確認してください。








