iPhoneの「正確な位置情報を制限」は日本で使える?キャリア位置情報との違いを整理

「アプリの位置情報をOFFにしているから、携帯会社にも細かい居場所は分からない」
そう思っているなら、少しだけ話が違います。
iPhoneには、アプリへ渡す位置情報とは別に、モバイル通信ネットワーク側が利用できる位置情報の精度を下げるための「正確な位置情報を制限」という機能があります。
ただし、2026年10月時点のApple公式情報を見る限り、日本のdocomo・au・SoftBank・楽天モバイルは対応対象として掲載されていません。さらに、Apple C2モデムを搭載するiPhone 18 Proも、現行のApple公式対応端末一覧には入っていません。
結論から言うと、日本のiPhoneユーザーは今すぐこの機能に頼るのではなく、「アプリ」「Web/IP」「携帯ネットワーク」の3層を分けて理解するのが先です。
「正確な位置情報を制限」が触るのはキャリア側の位置情報

名前がややこしいのですが、Appleの「正確な位置情報を制限」は、アプリの位置情報設定とは別物です。
Appleは、携帯基地局への接続などを通じてモバイル通信ネットワークが端末の位置を推定できると説明しています。この設定を有効にすると、ネットワークが利用できる一部の情報を制限し、位置の精度を下げます。
Appleの説明では、より細かな位置ではなく、近隣や地域レベルまで粗くなる場合があります。
一方で、通信品質や通常利用に影響せず、緊急通報時に救急隊員へ共有される位置情報の精度も下げないとされています。
出典: Apple「モバイル通信ネットワークによる正確な位置情報の取得を制限する」
位置情報は3層で考えると混乱しない
- アプリ / GPS
- 各アプリへ渡す位置情報。正確 / おおよそをアプリごとに制御
- Web / IP
- Safari等のWeb通信から推定される位置。Private RelayやVPNが主に関係
- 携帯ネットワーク
- 基地局接続等から通信事業者側で扱われる位置情報。今回のApple機能の対象

iPhoneの位置情報は、ひとまとめに考えない方が分かりやすいです。
1. アプリ / GPSの位置情報
地図、天気、SNSなど各アプリへ渡す位置情報。iPhoneの「正確な位置情報」設定で、アプリごとに正確な位置かおおよその位置かを選べます。
2. Web / IPアドレス由来の位置情報
SafariなどのWeb通信から推定される位置。iCloudプライベートリレーやVPNが主に関係するのはこちらです。
3. 携帯ネットワーク / 基地局由来の位置情報
どの基地局へ接続しているかなど、通信ネットワーク側で扱われる位置情報。「正確な位置情報を制限」が対象にするのはこの層です。
つまり、アプリの「正確な位置情報」をOFFにしても、携帯ネットワーク側の位置情報設定まで同じように変わるわけではありません。
Private RelayやVPNも、キャリアが基地局接続から得る位置情報を同じ意味で粗くする機能ではありません。
出典: Apple「iPhoneで共有する位置情報を制御する」 / Apple「iCloudプライベートリレー」
日本の4キャリアは現時点でApple公式の対応掲載なし
| 公式掲載 | 現時点の判断 | |
|---|---|---|
| docomo | 掲載なし | 国内SIMで利用可と公式確認できない |
| au | 掲載なし | 国内SIMで利用可と公式確認できない |
| SoftBank | 掲載なし | 国内SIMで利用可と公式確認できない |
| 楽天モバイル | 掲載なし | 国内SIMで利用可と公式確認できない |

ここが日本の読者にとって一番重要です。
2026年10月時点のApple公式サポートでは、デフォルトで有効になる通信事業者として欧州や英国、タイなどの事業者が掲載されています。手動で有効化できる対象も、EUまたは英国の通信事業者のSIMと案内されています。
一方、日本のdocomo・au・SoftBank・楽天モバイルは掲載されていません。
したがって現時点では、日本の国内キャリアSIMでこの機能が利用できる、と公式情報から確認することはできません。
これは「日本のキャリアが位置情報を扱っていない」という意味ではありません。むしろ各社の公式資料を見ると、基地局情報を使った位置推定や位置情報の取り扱いは実際に存在します。
SoftBankとauは緊急通報時の基地局情報による位置精度を数百m〜10km程度と案内し、ドコモも紛失端末の基地局測位では誤差300m以上になる場合があると説明しています。
つまり、日本で基地局由来の位置情報が常に「番地レベル」まで分かる、と単純化するのも正確ではありません。精度は場所や測位方法、ネットワーク構成によって変わります。
出典: Apple公式サポート / SoftBank 緊急通報位置通知 / au 緊急通報位置通知 / NTTドコモ ケータイお探しサービス
iPhone 18 ProはC2搭載でも、公式対応端末一覧にはまだない
注意
- iPhone 18 ProはApple C2モデム搭載
- 現行Apple公式の対応端末一覧にiPhone 18 Proは掲載されていない
- C2搭載だけで利用可能とは断定しない
- 将来追加される時期・条件は未確認

ここは少し意外です。
iPhone 18 ProのApple公式仕様には、Apple C2モバイル通信モデムの搭載が明記されています。
発売前には、Apple自社モデムの採用拡大により「正確な位置情報を制限」がiPhone 18 Proにも広がるのではないか、という予測がありました。
しかし、2026年10月時点のApple公式サポートが挙げる対応端末は、iPhone Air、iPhone 16e、iPhone 17e、iPad Pro(M5)Wi‑Fi + Cellularです。iPhone 18 Proはその一覧にありません。
したがって今は、「C2を積んでいるから使える」と判断しない方が安全です。
ハードウェアとして対応可能なのか、将来のアップデートで追加されるのか、通信事業者側の対応が必要なのか。現時点ではAppleから明確なロードマップは示されていません。
関連記事:iPhone 18 Proの物理SIM廃止は改悪ではない|仕事用eSIMを独立させる判断軸
出典: Apple iPhone 18 Pro仕様 / Apple公式サポート
Private RelayやVPNを入れても、キャリア位置情報の代替対策にはならない

プライバシー対策というと、VPNやiCloudプライベートリレーを連想しやすいですが、役割が違います。
Private RelayはSafariの通信やIPアドレス、Web閲覧時の追跡を保護する仕組みです。VPNも通信経路やIPアドレスの見え方を変える用途が中心です。
一方、携帯ネットワークは、端末がどの基地局へ接続して通信しているかを把握する必要があります。
そのため、VPNを契約したから携帯会社側の基地局位置情報まで消える、という理解は誤りです。
仕事用端末で位置情報を気にする場合は、アプリ権限、Web/IP、通信キャリアの3つを別々に考える必要があります。
フリーランスなら「完全に隠す」より3層を管理する

訪問先、取引先、自宅兼事務所などの行動パターンは、フリーランスや個人事業主にとって業務情報になり得ます。
ただし、位置情報対策を「誰にも居場所を知られない状態」にすることと考えると、現実から離れます。
まず確認するべきなのは次の3つです。
- 不要なアプリに位置情報権限を与えていないか
- Web上でIPアドレスをどこまで隠したいか
- 携帯ネットワーク側の位置情報は別レイヤーだと理解しているか
日本では現時点でAppleの「正確な位置情報を制限」を国内キャリアSIM向けの対策として当てにできません。
だから今できることは、使える設定を正しく使い、使えない機能をVPNや別設定で代替できると思い込まないことです。
Noa's View
Appleのプライバシー機能は名前が似ていて、設定画面だけ見ていると全部同じ「位置情報」に見えます。
でも今回の機能が面白いのは、アプリではなく通信キャリア側の位置情報レイヤーに手を入れようとしていることです。
日本でまだ使えないなら、すぐ乗り換えや端末買い替えを考える必要はありません。
むしろ今は「位置情報には3つのレイヤーがある」と理解しておく方が価値があります。国内キャリアが対応したとき、何が変わる機能なのかを正しく判断できるからです。
関連記事:フリーランスの仕事用番号はeSIMで足す|デュアルSIM運用の判断軸
この記事の検証に使用した主な情報源
Apple公式
- Apple:モバイル通信ネットワークによる正確な位置情報の取得を制限する
- Apple:iPhone 18 Pro / Pro Max 仕様
- Apple:iPhoneで共有する位置情報を制御する
- Apple:iCloudプライベートリレーを使ってWebブラウズを保護する









