個人事業主のスマホ回線はどれがいい?確定申告と業務継続で選ぶ5プラン

監修: ノア|MVNO事業の責任者として格安SIM・モバイルWiFi・eSIMの事業立ち上げから運営まで7年以上携わってきた通信業界の専門家。法人・個人向け通信サービスのマーケティング統括とAIO/SEOを活用したオウンドメディア運営の実務経験を持つ。現在も現役で通信系マーケティングに従事。
業務量と通信停止時の損失から回線を選びます。
個人事業主で仕事用のスマホ回線を探しているなら、月額だけで決めると判断を誤ります。見るべきなのは、テザリングで仕事を続けられる容量があるか、主回線と異なる通信網を予備回線に選べるか、確定申告で利用実態を説明しやすいかです。
今回の5プランには、2GBから35GBまでの差があります。ただし、公式に示された容量や速度制御だけでは、利用場所における上り速度、遅延、混雑時の品質までは判断できません。確認済みの仕様と実測が必要な項目を分け、業務条件に合う暫定候補を絞ります。
個人事業主向けスマホ回線5プランの比較
| キャリア | プラン名 | 通常月額 | データ量 | 回線系統・容量超過後 | テザリング | 海外データ通信 | 経費処理 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ahamo | ahamo | 2,970円/月 | 30GB | ドコモ網・超過後最大1Mbps | 無料で利用可 | 91の国・地域で国内分と合計30GBまで追加料金不要 | 通信費・兼用時は按分 |
| NUROモバイル | NEOプラン | 2,699円/月 | 35GB | 申込時にドコモ・au・ソフトバンクから1回線を選択・超過後最大1Mbps | 申込不要・対応端末で利用可 | データ通信不可 | 通信費・兼用時は按分 |
| mineo | マイピタ 3GB・デュアルタイプ | 1,298円/月 | 3GB | au・ドコモ・ソフトバンクから1回線を選択・通常容量超過後最大200kbps | 対応端末で利用可 | データ通信不可 | 通信費・兼用時は按分 |
| LIBMO | なっとくプラン 3GB・音声通話機能付きSIM | 980円/月 | 3GB | ドコモ網・超過後最大128kbps | 対応端末で利用可 | データ通信不可 | 通信費・兼用時は按分 |
| IIJmio | ギガプラン 2ギガ・音声SIM/音声eSIM | 850円/月 | 2GB | ドコモ網またはau網を選択・超過後最大300kbps | 対応端末で利用可 | データ通信不可 | 通信費・兼用時は按分 |
※各社公式情報を2026年7月15日に確認。金額は税込の通常料金です。端末代、通話料、初期費用、ユニバーサルサービス料などは含みません。キャンペーン価格やセット割は比較から除外しています。
※NUROモバイル、mineo、IIJmioで複数の回線系統が示されている場合も、1契約で同時に複数網へ接続できるという意味ではありません。申し込み時に利用する回線を選びます。
※通信速度はベストエフォートです。表中の速度制御値は、通常時の速度や会議品質を保証するものではありません。
※横にスクロールできます。
契約前の確認事項は、次のチェックリストに集約します。
- 主な仕事場所と業務時間帯で、上り速度、遅延、ビデオ会議の安定性を試せるか
- 予備回線を主回線と異なる通信網にできるか
- 端末が利用する回線、eSIM、デュアルSIM、テザリングに対応しているか
- 容量超過後や一定期間の大量通信時に適用される速度制御で、残したい業務を実行できるか
- 海外で必要なのがデータ通信、音声通話、SMSのどれか
- 固定IPやVPN接続が必要な業務に対応できるか
- 請求書・領収書の宛名、取得方法、保存形式が経費処理に合うか
30GB以上はテザリング業務を想定しやすい
外出先でパソコンをつなぐなら、ahamoの30GBとNUROモバイルのNEOプラン35GBが先に残ります。オンライン会議、クラウド作業、資料閲覧をスマホ回線で補う人は、2GBや3GBより通信量を受け止めやすい構成です。
ただし、容量が大きいことと会議が安定することは別です。ahamoはドコモ網を利用し、NEOプランは申込時にドコモ、au、ソフトバンクから1回線を選択できます。NEOプランには専用帯域がありますが、公式にも速度品質を保証するものではないと記載されています。
海外でデータ通信を使えるのは、この5プランではahamoです。91の国・地域で国内利用分と合計30GBまで追加料金なしで利用できますが、海外で最初に通信した日から15日経過後は最大128kbpsに制限されます。
2GBと3GBは用途を絞って選ぶ
IIJmioのギガプラン2ギガは、音声SIMと音声eSIMで月額850円です。ドコモ網またはau網を選べるため、主回線と異なる通信網を選択できる場合は、連絡、認証、軽いWeb確認を担う予備回線の候補になります。
LIBMOのなっとくプラン3GBはドコモ網です。mineoのマイピタ3GBは、au、ドコモ、ソフトバンクから利用回線を選べます。
mineoのマイピタ3GB・デュアルタイプでは、申し込みにより「パケット放題 1Mbps」を無料で利用できます。ただし、mineoスイッチをオンにした状態で直近3日間に10GB以上通信すると、翌日の速度が最大200kbpsに制限されます。IIJmioも低速通信時に直近3日間で366MBを超えると、追加の通信規制を受ける場合があります。予備回線として選ぶときは、容量だけでなく障害時に残したい作業と速度制御を対応させます。
主回線は平常時の通信量と実測品質で選び、予備回線は異なる通信網と速度制御の条件で選ぶと、通信費を事業継続の費用として整理できます。
業務内容から暫定候補を絞る
会議とテザリングが多いならahamoかNEOプラン
外出先でパソコンをつなぐ時間が長い人には、ahamoの30GBまたはNUROモバイルのNEOプラン35GBが暫定候補になります。いずれもテザリングを利用できます。
海外出張でスマホ回線によるデータ通信が必要なら、対応国、滞在日数、月間30GBの範囲に収まることを条件にahamoが候補です。海外利用が15日を超える場合や、渡航先が対象外の場合は適合しません。
国内中心で35GBを確保したいなら、NEOプランが候補になります。上り通信のデータ量を消費しない「あげ放題」にも対応していますが、VPNやプロキシ、P2P通信など一部は対象外です。会議品質は容量や専用帯域だけでは確定できないため、主な利用場所と時間帯での確認を経て判断します。
通信事業者の料金表には、容量と月額は大きく載ります。しかし、業務停止につながるのは上り速度や遅延の揺れです。元通信事業者の立場でも、会議用回線は利用場所と時間帯を決めて試すのが現実的です。
Wi-Fi中心の業務なら3GBを基準にする
自宅や事務所では別の通信環境を使い、スマホ回線は移動中の連絡が中心なら、3GBの2プランが選択肢になります。
主回線がau網やソフトバンク網で、予備回線をドコモ網に分けたい人には、LIBMOのなっとくプラン3GBが候補です。申込時に回線系統を選びたい人には、mineoのマイピタ3GBが合います。
ただし、LIBMOは容量超過後が最大128kbpsです。mineoも通常容量超過後は最大200kbpsで、パケット放題を利用するには別途申し込みとmineoスイッチの操作が必要です。障害時にビデオ会議や大容量送信まで引き継ぐ用途には、3GBだけを根拠に選べません。
仕事を止めない回線設計
主回線と予備回線は異なる系統で考える
通信障害はどの事業者でも起こり得ます。顧客対応、予約、決済、クラウド作業が回線停止と同時に止まるなら、1回線への依存は事業リスクです。
主回線に30GB以上のプランを置き、IIJmioのギガプラン2ギガをeSIMの予備回線として組み合わせる方法があります。IIJmioの音声SIMと音声eSIMはドコモ網またはau網を選べるため、たとえば主回線がドコモ網なら、端末の対応状況を確認したうえでau網を選ぶという分散が可能です。
一方、主回線と予備回線の名称が異なっても、両方が同じ通信網なら同一障害の影響を受ける可能性があります。契約前チェックリストに沿って、回線タイプ、端末のデュアルSIM仕様、eSIM対応、同時待受条件を確認します。
乗り換え相談では、メインと予備を用意しただけで安心する人が少なくありません。両方が同じ回線系統なら、障害時に一緒に影響を受ける可能性があります。契約名より、どの通信網を使うかで分けるのが回線設計の基本です。
アップロード速度は契約前に切り分ける
今回確認した公式情報からは、主な利用場所や時間帯における上り速度を一律に比較できません。したがって、動画納品や大容量ファイルの送信に最も向くプランは断定できません。
オンライン会議も下り速度だけでは判断できません。音声や映像を相手へ送るため、上り通信の安定性も関係します。主な仕事場所で実測し、業務時間帯による変化を確かめます。
一方で、メール、チャット、認証、軽い資料閲覧が中心なら、大容量だけを優先する必要はありません。止めたくない業務を先に決め、その業務に必要な容量、速度制御、回線系統を選びます。
確定申告でスマホ代を通信費にする方法
事業利用分を説明できる状態にする
スマホの月額料金は、事業で使った部分を通信費として扱えます。個人名義の契約でも、判断の中心になるのは名義ではなく利用実態です。
ただし、仕事と私用を兼ねる回線の全額が自動的に経費になるわけではありません。業務利用分を合理的に区分し、家事按分の根拠を残します。
確定申告前に、次の5点をそろえます。
- 請求書または領収書を取得できる状態にする
- 事業用と私用の利用を区分する
- 通話履歴や利用時間を基に按分根拠を決める
- 明細と按分根拠を保存する
- 判断に迷う処理は税理士などの専門家へ確認する
例外として、事業専用回線でも、私用が混在すればその実態に沿った処理が必要です。回線を契約しただけで事業専用になるわけではありません。
回線を分けると記帳の説明が簡潔になる
仕事専用の番号と回線を用意すると、私用との区分が見えやすくなります。顧客対応の履歴も分かれ、通信費を計上する根拠を整理しやすくなります。
副回線を事業専用として使うなら、IIJmioのギガプラン2ギガやLIBMOのなっとくプラン3GBを検討できます。必要な容量は、電話、チャット、認証、テザリングの実際の利用量で決めます。
証憑の扱いは料金や容量とは別の契約条件です。宛名、取得方法、保存形式が事業の記帳方法に合うかを、比較表下の契約前チェックリストで確認します。
サポート現場では、料金よりも名義や明細の扱いを後から調べる人が目立ちます。確定申告まで考えるなら、契約前に証憑の取得方法を確認した方が、毎月の記帳を崩さずに済みます。
個人事業主のスマホ回線選びまとめ
用途別の暫定候補
オンライン会議とテザリングを国内で使うなら、NEOプラン35GBまたはahamo 30GBが暫定候補です。必要容量の範囲に収まり、主な仕事場所と時間帯で通信品質を確認できた場合に選びます。
海外でのデータ通信を含めるなら、渡航先が対象地域で、利用開始から15日以内かつ国内分と合計30GB以内に収まることを条件にahamoが候補です。
連絡と認証を担う予備回線なら、IIJmioのギガプラン2ギガが候補です。対応端末で音声eSIMを利用でき、主回線とは異なるドコモ網またはau網を選べる場合に、障害分散の条件を満たせます。
契約前に確定申告まで設計する
スマホ回線は、月額を下げるためだけの契約ではありません。顧客対応を止めないこと、外出先で仕事を戻せること、通信費の根拠を保存できることまでが一つの設計です。
容量と料金で候補を絞った後、回線系統、実測品質、速度制御、海外条件、端末対応、証憑の取得方法を契約前チェックリストで確認します。条件を満たしたプランだけを業務回線として導入してください。
